今、読書会で「暇と退屈の倫理学」を読んでいます。
その中でこんな一節があります。
人間だけが、あるものをあるものとして経験できる
暇と退屈の倫理学 P291
トカゲが石の上で日向ぼっこをするけれど、トカゲは「石」の上という認識も「太陽の光」という認識もない。
人間だけがそれを「石」や「太陽」と認識できるそうです。
そこで読書会では
- 名前を付けると認識が出来て、目の前のモノを俯瞰できる。
- 名前を付けると周りと区別でき、「存在」がはっきりする。
という話になりました。
読書会のメンバーでライフコーチをしている方が、
と教えてくれました。
そこで、
と思うに至りました。
と言う事で、この記事では、感情に名前を付ける(=感情のラベリング)について
- 感情のラベリングとは?
- 感情のラベリングの効果
- 感情のラベリングの方法
の3つの視点から調べてみたので紹介します。
感情のラベリングとは
「感情のラベリング」とは、心理学用語で「今感じている感情を言語化して表現をする」という事です。
人はなんとなくモヤモヤしているモノにはネガティブな感情を持ちます。
よくわからないから不安を感じたり、なんだか分からないけれどイライラしたり…。
今、感じているそのままの感情を言語化してみることで、頭の中のモヤを一度見える形にしてあげる。
そうすると頭の中のモヤと距離を取ることができ、感情に流されることなく対応しやすいのです。
人の感情には「悪い感情」や「良い感情」はありません。
ただ、感じているだけ。
その感情に対して「悪い反応」や「良い反応」はあります。
「感情のラベリング」をすることによって、感情を理解し、悪い反応を減らすことが出来るのです。
感情のラベリングの効果
感情のラベリングで得られる効果はいろいろあるようですが、私が大切と思うのは以下の3つです。
感情のラベリングの効果
- 自分の感情に適切な対応を取ることが出来る
- 自分の感情を裏切らない行動をとることが出来る
- 自分の感じやすい感情に気が付く
1つずつ、説明します。
自分の感情に適切な対応をとる
育児本などには、言語が未発達で感情が表せない子供に「今、怒っているのね」とか「悲しいのね」とか言語化してあげることで、情緒が安定すると書いてあります。
人は感情を認識していなくても、その感情に伴った行動が表に出てしまいます。
不機嫌な時に、自分は気付かなくても不機嫌な態度を出していると、人間関係に支障がでてきます。
だから、自分の感情に気が付いて、適切な対応を取ることが大切です。
イライラが急激に湧いてきたときに「イライラしてる」と言語化できたら、それだけで爆発は免れそうな気もします。
また「イライラしている」と分かれば、イライラの原因を突き止めたり、次の行動につなげることが出来ます。
自分の感情を裏切らない行動をとる
感情のラベリングをしていくと、「その時の自分の感情を裏切らない行動をとる」という選択肢が生まれます。
例えば、本当は気が乗らないお友達との集まりに参加する時、モヤモヤした気分の正体が分からないと、「参加しない」という選択はできません。
参加して、心から楽しめないあなたにお友達も違和感を感じ、だんだんと距離が遠ざかることもあります。
でも、「気乗りしない」という感情に気付いたら、今回はお断りすると言う事が出来るようになります。
特に「怒り」は感情の中の表層にあるものなので、その下にある違う感情が原因となっていることが良くあります。
自分が自分を裏切り続けると、自信の喪失や自己嫌悪にもつながります。
自分の感じやすい感情に気が付く
ミーニングノートのコミュニティで「一番感じやすい感情は何か?」と質問したことがあります。
私は「喜び」だと思ったのですが、答えてくれた方々は「悲しみ」を感じているようでした。
感情のラベリングをしていると、自分の感じやすい感情の傾向に気が付きます。
負の感情を感じやすいなら、「あ、また癖が出てる」と客観的に見ることが出来るようになります。
気が付けば、望んでいない癖を治すことが出来ます。
感情のラベリングによって、自分の望む自分の姿に1歩ずつ近づくことが出来るのです。
感情のラベリングの方法
感情のラベリングの方法は簡単です。
観察をする時、どんな感情でも判断しないことが大切です。
もし、その時の感情が言語化できないなら、こういう本を1冊持っていると良いかもしれません。
気付いたときに本を眺めて、今の感情に近い言葉を探してもよいし、1日の終わりに今日の感情の流れを考えてみてもよいです。
とにかく、感じている感情を言語化する体験を積み重ねることが大切。
もし瞑想をする方なら「ラベリング瞑想」という方法もあります。
オンライン瞑想サロンのMelonでも自分を観察する瞑想を行っています。
普段から、自分の頭の中を紙に書き出す習慣があると、言語化力は高まります。
ただ、思考と感情は別物なので、「感情」を見るときは「感情」を探らなくてはいけません。
【まとめ】感情のラベリングの癖をつける
いろいろ調べてきましたが、感情のラベリングが「感情が遅れてやってくる」のを治せるかは不明です。
でも、自分の感情に敏感になることで、その感情に合った行動を起こすことができそうです。
私のノート好きは「感情」と言うより「思考」メイン。
感情を感じる前に、くちゃくちゃと考え始める癖があります。
感情に気付いて、ラベリングする時間を作ろうと思いました。